日本郵便とホンダが社会インフラ整備に向けた協業の検討を開始すると発表。
地球環境に配慮し、電動バイクを使った郵便配達網を整備するもので、郵便配達業務に使うバイクの電動化、郵便局における充電ステーションの実証実験を行うもの。
さらに、ホンダがバイク向けに開発したITを使ったルート案内サービス「Honda Biz LINC」の郵便配達業務への活用、日本郵便の郵便配達用二輪車に関する保守体制の構築を図る。
実証実験の詳細は今後詰めるが、「2018年中には何かしらの形で始めたい」とする意向を持つ。
日本郵便は配達用として、全国に8万5千台ものバイクを持つ。
そのバイクとは、郵便配達用に特化させた、あの赤いホンダのスーパーカブである。
日本郵便との共同開発による特化仕様のため、一般には販売していないが、根強いファンを持つ。
用途廃止となった中古車の入手は可能であり、専門に取り扱う販売店も存在する。
ホンダは過去に電動二輪車「EV-neo」を生産、リース販売していた。
走行距離は時速30kmの定地走行テスト値で34km程度で、最高出力は2.8kW、最大トルクは11Nmだ。
日本郵便の配達用バイク1台が1日に走行する距離は、勤務形態にもよるが、平均すると35km程度だという。
充電なしで1日の配達業務を終えることを考えると、「EV-neo」の走行距離は走行条件によっては不足する。
今後、郵便配達に適用する電動バイクをホンダが開発し、実証実験を始める計画。
充電拠点は配達用バイクに限らずに、一般にも開放する構想もある。
電動バイクの普及にはさまざまな課題を持つ。
なかでも大きいのが充電インフラの普及であろう。
電気自動車と比べれば、電動バイクが必要とする電気容量は少ないが、積めるバッテリーの容量が限られるため、その航続距離に限界がある。
もし、家庭以外での充電が期待できなければ、その使い勝手には問題が残る。
全国に約2万4千もあるという郵便局。
そのうちの大部分を充電スタンドとして使えるようになれば、電動バイクの使い勝手は格段に向上する。
環境保全を考慮すると、電動化の進展を避けることはできない。
バイクも同じである。
充電スタンドで充電するのか、または、そこでバッテリーを交換するのか、あるいは、そのほかの方法を採用するのか。
いずれにしても、全国に広がる郵便局の活用は、充電インフラの整備につながる。
この実証実験の成否は、ホンダのバイク事業に大きな影響を与えそうだ。